妻の夜勤中、押しかけ義妹に「開発」されています

公開日: 2025年11月7日
真帆と結婚して半年。「幸せ」を絵に描いたような新婚生活。 看護師の妻が夜勤でいない夜、寂しい俺の元にやってきたのは、妻の妹・結菜ちゃんだった。 「お義兄さん、マッサージしてあげます」 最初はただの親切だと思っていた。 けれど、義妹の指先は、徐々に危険な領域へと滑り込んでいき……。

真帆と結婚して、半年が過ぎた。

「幸せ」という言葉がこれほど陳腐に、しかしこれほど的確に現状を表すものだとは思わなかった。都心から少し離れたマンション。二人で選んだ家具。週末に二人で出かける近所のスーパー。その全てが愛おしく、輝いて見えた。

「いってきます。戸締り、よろしくね」

「ああ、いってらっしゃい。無理するなよ」

「はーい。あ、冷蔵庫に昨日の残り物あるから、チンして食べてね」

玄関先で、真帆が振り返る。

「それと、キス」

「はいはい」

軽く唇を合わせる。柔らかく、温かい感触。

「……よし、充電完了。じゃあ、本当に行ってきます!」

ぱたぱたと慌ただしく去っていく背中を見送る。

真帆は看護師だ。総合病院の救命救急センターに勤務しており、その生活は不規則を極めていた。

「ごめんね、今週、夜勤三回も入っちゃって……」

そう言って申し訳なさそうに眉を下げる妻は、俺にとって自慢の妻だった。人の命を救う仕事。尊敬している。

だが、新婚だというのに、夜、この新居に一人でいる時間は、思った以上に多かった。

真帆の優しさが染み付いたリビングで、一人分のパスタを湯切りする。静まり返った部屋に、換気扇の音だけが虚しく響いていた。

「お義兄さん、こんばんはー」

そんな俺の孤独な夕食事情を劇的に改善してくれたのが、真帆の妹、結菜ちゃんだった。

「結菜がさ、お兄さん一人じゃ心配だから、家事手伝いに行くって言ってくれて。合鍵、渡しといたから」

真帆からそう聞いた時は、さすがに遠慮した。結菜ちゃんは専門学生で、姉の家に通うとはいえ、年頃の女性だ。俺と二人きりになるのは、色々とまずいだろうと。

だが、真帆は「大丈夫大丈夫! 結菜は家族なんだから!」と笑い飛ばし、結菜ちゃん本人も、けろりとした顔で「お姉ちゃんに美味しいご飯の作り方教わったんで、お義兄さん、毒見役よろしくです」なんて言って、あっけらかんとしていた。

結菜ちゃんは、真帆とはまた違うタイプの魅力を持っていた。

ふんわりと優しく、家庭的な雰囲気の真帆に対し、結菜ちゃんは活発で、少し派手な印象だ。明るく染めた髪に、流行りのメイク。服装も、専門学生らしい若々しさに溢れている。

すらりとした手足に、姉よりもやや小柄だが、Tシャツの上からでもわかる確かな起伏。

もちろん、俺は真帆の夫だ。そんな義理の妹に邪な感情など抱くはずもなかった。

当初は。

「お義兄さん、今日もお疲れ様です! 今日はハンバーグにしましたよ」

「うわ、ありがとう。いつも悪いね」

「いーんです。お姉ちゃんとの約束なんで」

二人で食卓を囲む。結菜ちゃんは甲斐甲斐しくご飯をよそい、味噌汁を運んでくれる。その姿は、まるで「小さな新妻」のようだった。

(……いや、何を考えてるんだ、俺は)

頭を振って、邪念を追い払う。

「どうです? お味は」

「うん、美味い。すごく美味いよ。真帆より上手いかも」

「えー、それお姉ちゃんに言ったら怒られますよ?」

きゃらきゃらと笑う結菜ちゃん。ふと、真顔になって俺を見た。

「……なんか、お義兄さん見てると、お姉ちゃんちょっとズルいなって思っちゃいます」

「え?」

「ううん、こっちの話。お姉ちゃん、昔から私のお気に入り、先に取っちゃうんだよねー。あ、冗談ですよ、じょーだん!」

この、家族としての温かい距離感。それが、俺の心の隙間に静かに、だが確実に染み込んでいっていた。


その夜も、真帆は夜勤だった。

俺はと言えば、月末の繁忙期が重なり、終電間際まで会社で神経をすり減らしていた。

くたくたになって玄関のドアを開けると、リビングの明かりが漏れていた。

「……あれ?」

真帆はいないはずだ。まさか、泥棒か?

そっとリビングを覗き込むと、ソファで小さな影が丸くなっていた。

「……結菜ちゃん?」

「……ん……あれ、お義兄さん? おかえりなさい……」

眠い目をこすりながら、結菜ちゃんが起き上がる。時刻はもう、深夜一時を回っていた。

「どうしたんだ、こんな時間まで。帰らなかったのか?」

「お義兄さん、連絡なかったから。もしかして倒れてるんじゃないかって……お姉ちゃんも心配するし……」

そう言って、結菜ちゃんはふわりとあくびをした。

「ごめん、スマホの充電、会社で切れちゃって……。夕飯は?」

「食べましたよ。お義兄さんの分、一応取ってありますけど……もう冷めちゃった」

「いや、いいよ。食欲ない。それより、送るよ。もうこんな時間だし」

「うーん……でも、今から帰るのも面倒だなぁ……」

結菜ちゃんはそう言うと、ソファの上でぐでーっと大の字になった。

薄手のニットワンピースが、重力に従って体のラインを露わにする。

「こら、はしたないぞ」

「いーじゃん、家族なんだし。……あ、そうだ」

結菜ちゃんが、むくりと起き上がった。

「お義兄さん、すっごい顔色悪いですよ。肩、凝ってるでしょ」

「まあ、月末だからな。大丈夫だよ、寝れば治る」

「ダメです。そういうのが蓄積するんです」

そう言うと、結菜ちゃんは俺の背後に回り込み、なんの躊躇もなく俺の肩に手を置いた。

「うわ、ガッチガチ。石みたい」

「あ、おい、結菜ちゃん……」

「いいから、座っててください」

ぐい、と肩を押される。俺の疲労困憊の体は、抵抗する気力もなくソファに沈んだ。

結菜ちゃんが、俺の肩を揉み始める。

「学校で、マッサージの実習とかあるんですよ。結構、評判いいんだから」

「へえ、そうなんだ……」

小さな手だった。だが、指先にしっかりと力が入っている。

凝り固まった筋肉に、きゅ、きゅ、と指が食い込んでくる。

「……あー……そこ、気持ちいいかも……」

「でしょ? ここが、こう……」

指が、肩甲骨の周りを滑る。

「ん……っ」

思わず、変な声が出た。

「ふふっ。お義兄さん、感じやすい?」

耳元で、くすくすという笑い声が聞こえる。

近い。シャンプーの、甘酸っぱい匂いが鼻腔をくすぐった。

「や、そういうんじゃ……」

「いいですよ、我慢しなくて。疲れてるんですから」

結菜ちゃんの手は、肩から首筋へと移動していた。

指の腹が、耳の後ろを優しくこする。ぞくぞくとした感触が背筋を駆け上った。

「お義兄さんのYシャツ、アイロンかけるの私なんですよ。知ってました?」

「え、あ、そうなの? 真帆かと思ってた」

「お姉ちゃん、家事ぜんぜんダメだもん。こういうの、全部私」

結菜ちゃんの手が、Yシャツの襟元から、するりと内側に入ってきた。

「……っ!?」

素肌に、直接指が触れる。

「ちょ、結菜ちゃん、ダメだ……!」

俺は慌ててソファから立ち上がろうとした。真帆の顔が脳裏をよぎる。

「何がダメなんです? 服の上からじゃ、やりにくいじゃないですか」

結菜ちゃんは悪びれる様子もなく、俺の胸元を指先でなぞった。

俺は結菜ちゃんの手首を掴んだ。

「やめてくれ。真帆の妹に、こんな……」

「お義兄さん、筋肉すごい」

結菜ちゃんは俺の抵抗を意に介さず、掴まれた手とは逆の手で、俺の鎖骨の下をゆっくりと往復する。

そして、俺が振りほどこうとした瞬間、結菜ちゃんは俺の腕を引いて体勢を崩させ、そのまま正面から俺に抱きついてきた。

「きゃっ。……お義兄さん、ダメですよ、急に立とうとしたら。疲れてるくせに」

耳元で囁かれ、甘いシャンプーの匂いが再び鼻腔をくすぐる。薄いニット越しに、柔らかい感触が腕に伝わってくる。

「離れ……」

「私、お姉ちゃんに頼まれただけなのに。お義兄さん、私のこと、嫌い?」

「……そういうわけじゃ……」

「じゃあ、じっとしてて」

結菜ちゃんは俺を再びソファに押し戻すと、また背後に回った。今度は、拒絶する隙を与えないように、指が、胸の中心に向かって滑っていく。

そして、左胸の突起の上で、ピタリと止まった。

「……あれ?」

結菜ちゃんが、小首を傾げる気配がした。

「お義兄さん、ここ……」

指先が、乳首の上を「かりっ」と爪弾いた。

「ひっ……ぁっ!?」

自分でも驚くような、甲高い声が出た。

全身の血が、一気に下腹部に集まるのが分かった。

「うそ。お義兄さん、ここ、弱いんだ」

結菜ちゃんの声が、楽しそうに弾んでいる。

「ちが……っ、やめろ……!」

「なんで? すごい反応してるよ」

指先が、再び乳首を弄ぶ。今度は、指の腹で「くり、くり」と転がすように。

「あ……っ、ん……っ」

ダメだ。体が、言うことを聞かない。

疲労で弛緩しきった神経に、若い義妹の指先がもたらす刺激は、あまりにも強すぎた。

「結菜ちゃん、お願いだ、やめてくれ。俺は、真帆の……」

「知ってるよ。お姉ちゃんの旦那さんでしょ」

結菜ちゃんは、俺の背後から離れ、正面に回り込んできた。

俺はソファに座ったまま、結菜ちゃんは床に膝をついている。

見下ろされる形になった。

結菜ちゃんの目が、妖しく光っているように見えた。

「でもさ、お姉ちゃん、お義兄さんのこと、ほったらかしじゃん」

「そ、そんなことない!」

「あるよ。こんなに疲れてるのに、マッサージもしてあげない。夜も、一人ぼっち」

「……それは、仕事だから」

「仕事だから、仕方ない?」

結菜ちゃんが、俺のネクタイを掴んだ。ぐい、と顔を引き寄せられる。

「お義兄さんが我慢してること、お姉ちゃん、わかってないよ」

「…………」

「私なら、我慢させないのにな」

そう言うと、結菜ちゃんは俺のYシャツのボタンに手をかけた。

「だめだ!」

俺は、その手を振り払おうとした。

だが、結菜ちゃんは俺の手首を掴むと、そのまま自分の胸元にぐいと押し当てた。

「……っ!?」

ニット越しに伝わる、柔らかく、しかし強烈な弾力。

真帆よりも小柄な体に不釣り合いなほどの、豊かな膨らみだった。

「お義兄さんだけずるい。私だって、凝ってるかも」

結菜ちゃんが、俺の手を自分の胸に押し付けたまま、体をくねらせる。

「ん……そこ、気持ちいい……」

「やめろ、結菜ちゃん、正気に戻れ!」

「正気だよ。お義兄さんこそ、素直になれば?」

結菜ちゃんは、俺の手を解放すると、今度は俺の膝の上に、よじ登るようにして跨ってきた。

「……!」

「お義兄さん、顔、真っ赤」

至近距離。甘い香りが濃くなる。

結菜ちゃんの体が、俺の体と密着する。

俺の、すでに限界を迎えつつあった下半身に、結菜ちゃんの柔らかい部分が押し付けられた。

「ほら、お義兄さんだって、我慢できないくせに」

結菜ちゃんが、俺のベルトのバックルを弄ぶ。

「だめだ……だめだ、真帆を裏切れない……」

「裏切りなんかじゃないよ。これは、マッサージの続き。……でしょ?」

結菜ちゃんの顔が近づいてくる。

俺は、最後の抵抗として、目を固く瞑った。

だが、唇に触れたのは、柔らかい感触ではなかった。

「……ん?」

目を開けると、結菜ちゃんが、俺の胸元に顔を埋めていた。

そして、さっき俺が感じていた左胸の突起に、温かく湿ったものが触れていた。

「……あ……?」

「んちゅ……」

結菜ちゃんが、俺の乳首を、吸った。

「あ……っ、ぁ、あ!?」

衝撃、という言葉では足りなかった。

脳天をハンマーで殴られ、そのまま背骨を稲妻が駆け抜けたような、凄まじい快感。

「れろ……じゅるっ……」

小さな舌が、乳首の周りを舐め、先端を吸い上げる。

「だっ、だめ、そこ、ほんとに、だめっ……」

「ふふっ、すごい。もうガチガチ」

結菜ちゃんは顔を上げると、今度は俺の唇に、自分の唇を押し当ててきた。

抵抗する間もなく、舌がねじ込まれる。

酒も飲んでいないのに、頭がぐらぐらする。

結菜ちゃんの舌が、俺の口内を蹂躙する。

俺は、なされるがままだった。

ソファの上で、義理の妹に馬乗りになられ、乳首を吸われ、ディープキスをされている。

これが現実なのか?

疲労のせいだ。そうだ、これは悪い夢だ。

そう思おうとした瞬間、結菜ちゃんの片手が、俺のズボンのファスナーに触れた。

「お義兄さん……私、もう我慢できないかも」

その言葉が、現実への引き金だった。

俺は、真帆の妹を、抱いた。

新婚の、愛する妻の家で。


翌朝、俺は地獄の底にいた。

隣で寝息を立てていた結菜ちゃんが、アラームより早く目を覚ました。

「……おはよう、お義兄さん」

「……あ……」

俺は、何も言えなかった。

「すごかったね、昨日。お義兄さん、あんな声出すんだ」

結菜ちゃんは、何事もなかったかのように笑い、散らかった服を拾い集め始めた。

「……結菜ちゃん。俺は……」

「俺は、何?」

服を着終えた結菜ちゃんが、冷たい目で俺を見下ろした。

「真帆に……謝らないと……」

「謝る? 何を?」

「昨日、のこと……」

「ふーん」

結菜ちゃんは、鼻で笑った。

「謝って、どうするの? お姉ちゃん、喜ぶと思う?」

「……それは……」

「お義兄さんに、大好きな妹と寝たって言われて、お姉ちゃん、どう思うかな。お義兄さん、お姉ちゃんに捨てられるよ。間違いなく」

「……っ!」

「私も、お姉ちゃんに勘当される。お義兄さんのせいで、家族、めちゃくちゃだね」

「お、俺のせい……?」

「そうだよ。お義兄さんが、私を誘ったんでしょ」

「なっ……! 違う! 結菜ちゃんが……!」

「私が何? マッサージしてあげただけじゃん。そしたらお義兄さん、急にムラムラして、私に襲いかかってきた」

「そん、な……」

「私、怖かったー。お姉ちゃんの旦那さんなのに、獣みたいだった」

結菜ちゃんは、わざとらしく怯えたふりをする。

だが、その目は笑っていた。

俺は、罠に落ちたのだと悟った。

「……どう、すれは……」

「簡単だよ。これは、二人だけの秘密。ね?」

結菜ちゃんは、俺の頬を優しく撫でた。

「お義兄さんが、昨日みたいに、私のこと『可愛がって』くれるなら、私も黙ってる。お姉ちゃんのためにも、その方がいいよね?」

悪魔の囁きだった。

俺は、頷くことしかできなかった。


それから、俺の日常は崩壊した。

真帆が夜勤の日。その日は、結菜ちゃんが「家事手伝い」に来る日になった。

俺は拒否できなかった。

「お義兄さん、ただいまー。今日のご飯、何がいい?」

「……なんでも、いいよ」

「そ。じゃあ、先にお風呂、入っちゃおっか」

結菜ちゃんは、まるで自分の家のように振る舞い、俺を支配した。

リビングで、キッチンで、玄関で。

俺は結菜ちゃんの求めに応じ続けた。

「だめ。お義兄さん、全然感じてない。もっと、私に集中して」

結菜ちゃんは不満そうだった。

俺が罪悪感で死にそうな顔をしているのが、気に入らないらしかった。

「お姉ちゃんのこと考えてるでしょ。私のことだけ、考えてよ」

結菜ちゃんの要求は、エスカレートしていった。


そして、その日は来た。

真帆が、二泊三日の研修で家を空けることになった。

「ごめんね、新婚なのに。結菜には、泊まり込みで手伝ってもらうように言っといたから!」

「……え?」

「二人きりじゃ心配って言ってたけど、大丈夫でしょ? お義兄さんと結菜は、もう本当の兄妹みたいなんだから!」

電話の向こうで、真帆が屈託なく笑う。

俺は、青ざめた。

二泊三日。結菜ちゃんと、二人きり。

それは、地獄の宣告だった。

研修初日の夜。

俺は、自分の部屋(もともとは書斎にする予定だった部屋)に鍵をかけて閉じこもっていた。

「お義兄さーん、ご飯できたよー」

リビングから、結菜ちゃんの声がする。

俺は無視した。

「おーい、聞こえてるー? 入るよー?」

ガチャリ、とドアノブが回る音。

「……あれ、鍵かかってる。ひどーい。私、せっかく作ったのに」

結菜ちゃんが、ドアをドンドンと叩く。

「お義兄さん、開けてよ。開けないと、お姉ちゃんに電話しちゃうよ?」

「……っ!」

脅しだ。

「なんて言おうかなー。『お義兄さんが、部屋に閉じこもって出てこない。私が昨日、お義兄さんに無理やり襲われたって言ったら、逆上して……』」

「わかっ、わかった! 開ける! 開けるから!」

俺は慌てて鍵を開けた。

そこには、エプロン姿の結菜ちゃんが、仁王立ちで待っていた。

「遅い。ハンバーグ、冷めちゃったじゃん」

「……ごめん」

「謝るなら、こっち来て」

結菜ちゃんが、俺の手を引く。

連れて行かれたのは、リビングではなかった。

「……え? 結菜ちゃん、どこ……」

「いーから、黙ってついてきて」

引きずられるようにして連れて行かれた先は。

「……だめだ」

そこは、俺と真帆の、夫婦の寝室だった。

「ここだけは、だめだ! 絶対にだめだ!」

俺は、入り口のドア枠に必死にしがみついて抵抗した。

「なんで? お姉ちゃんの匂いがすると、興奮しない?」

「ふざけるな!」

「ふざけてないよ」

結菜ちゃんは、俺の手を強引に振りほどくと、俺をベッドの上に突き飛ばした。

ふわり、と真帆の柔軟剤の匂いが鼻を突く。

「……あ……」

真帆の匂い。俺たち夫婦の、聖域。

俺が呆然としている間に、結菜ちゃんは部屋のクローゼットを開けた。

「えーっと、どれにしようかなー」

結菜ちゃんが、ハンガーにかかった服を物色している。

「……結菜ちゃん、何……」

「ん? あ、これにしよ」

結菜ちゃんが取り出したのは、真帆のお気に入りの、シルクのネグリジェだった。

俺が、結婚一周年の前祝い(気が早いが)にプレゼントしたものだ。

「これ、お義兄さんがあげたやつでしょ。お姉ちゃん、すごい喜んでた」

結菜ちゃんはそう言うと、今着ているTシャツとショートパンツを、なんの躊躇もなく脱ぎ捨てた。

「……!」

目の前に現れた、若く、引き締まった裸体。

姉の真帆とは違う、張りのある肌。きゅっと上がった尻。

そして、真帆のレースのショーツ。

「……それ……」

「あ、これ? お姉ちゃんの借りちゃった。お義兄さん、このデザイン好きでしょ?」

結菜ちゃんは、俺の目の前で、真帆のネグリジェに袖を通した。

透けるような薄い生地が、結菜ちゃんの体のラインをくっきりと浮かび上がらせる。

「……どう? お姉ちゃんみたい?」

結菜ちゃんは、くるり、と一回転してみせた。

真帆の化粧台の前に座ると、今度は真帆の香水を手首に軽く振りかけた。

「……お姉ちゃんの匂い、するでしょ」

結菜ちゃんが、俺の隣に座った。

シルクの感触と、真帆の香水の匂い。

俺の罪悪感は、臨界点を超えようとしていた。

「お義兄さん、また顔赤い。もしかして、これで興奮した?」

結菜ちゃんが、俺の股間を、ネグリジェ越しに撫でた。

俺の体は、正直だった。

「ほら、ガチガチ。お姉ちゃんの服着てる私に、こんなんなっちゃって」

「やめろ……」

「やめない」

結菜ちゃんは、俺のズボンのベルトを外し、ファスナーを下ろした。

そして、俺の膨れ上がった熱を、外気に晒す。

「お義兄さん、すごい熱い……」

結菜ちゃんは、真帆のネグリジェを着たまま、俺の股間に顔を近づけた。

「お姉ちゃんも、いつもこうやって『お世話』してあげるの?」

「……っ!」

結菜ちゃんの、温かく湿った舌が、俺の先端を「れろり」と舐めた。

「あ……あぁっ……!」

声が、漏れる。

「声、出しちゃダメだよ。お姉ちゃんが、嫉妬しちゃう」

結菜ちゃんはくすくすと笑いながら、俺のものを、その小さな口に含んだ。

「んぐっ……じゅるっ……」

ダメだ。ダメだ。

ここは真帆のベッドだ。

結菜ちゃんが着ているのは真帆の服だ。

匂いも、真帆の匂いだ。

なのに、俺の口を犯しているのは、義妹の結菜ちゃんだ。

「んちゅ……じゅぽ……」

粘着質な水音が、寝室に響く。

真帆がいない寝室に、真帆の妹の奉仕の音が響く。

「お義兄さん、こっちも忘れてない?」

結菜ちゃんの手が、俺のYシャツのボタンを外し、胸をはだけさせた。

そして、あの日のように、俺の乳首を指先で摘んだ。

「あぎっ……!」

「口と、こっち。どっちが気持ちいい?」

結菜ちゃんは、フェラチオを続けながら、容赦なく俺の乳首を「くりくり」と責め立てる。

「んぐっ……ああっ! ああっ!」

口を塞がれているのに、快感で声が漏れる。

脳が、二方向からの快感で処理しきれなくなる。

「お姉ちゃんの匂いに包まれて、お姉ちゃんの妹にしゃぶられてる……お義兄さん、今、最高に『変態』だよ」

「あ……ぁ……もう……」

俺は、射精しそうになった。

その瞬間、ピタリ、と結菜ちゃんの口の動きが止まった。

「……あ?」

「ダメ。まだイっちゃダメ」

結菜ちゃんが、俺の睾丸をきゅっと握る。

「ひっ……!」

快感の波が、強制的に引KOBEされていく。

「お義兄さん、早すぎ。お姉ちゃん、こんなんじゃ満足しないでしょ」

結菜ちゃんは、口を離すと、今度は俺の乳首責めだけに集中し始めた。

「あ、やめ……そこは……」

「やめない。こっちでイってごらんよ」

爪先で、かりかりと乳首を引っ掻かれる。

指の腹で、ぐりぐりと押し潰される。

「あひっ……ああっ……だめ、だめだっ……!」

「ほら、イきそう。射精しないのに、イきそうになってる」

「あ……あ……あぁぁぁっ!」

脳が、真っ白になった。

射精は、していない。なのに、全身が痙攣し、意識が飛んだ。

「……ふぅ……」

「……イった……」

結菜ちゃんが、満足そうに笑っている。

「ほら、イっちゃった。射精してないのにイっちゃった。お義兄さん、乳首だけでイける体になっちゃったね」

屈辱だった。

男としての何かが、根本から破壊された気がした。

俺は、涙目になっていた。

「……もう、やめてくれ……お願いします……」

「やだ」

結菜ちゃんは、即答した。

「お姉ちゃんが帰ってくるまで、あと二日もあるんだよ? もっと、ぐちゃぐちゃにしてあげる」

「……あ……」

「お義兄さん、乳首だけが弱いと思ってるでしょ? 全然違うよ」

結菜ちゃんは、俺の耳元に唇を寄せた。

「ここも、好きでしょ?」

そう言って、俺の耳たぶを、軽く歯で噛んだ。

「あっ……!?」

乳首とは違う、ぞわりとした快感が背筋を走る。

「ふふっ、ビクッとした。じゃあ、こっちは?」

結菜ちゃんの手が、俺の内腿をゆっくりと撫で上げる。

「や、やめ……そこは……」

「ここを、こうやって……爪立てると?」

爪が、太ももの内側の柔らかい皮膚を「かり」と引っ掻いた。

「んんっ……!?」

下半身が勝手に跳ねる。

「ほら、やっぱり。お義兄さん、隠してることが多すぎ」

結菜ちゃんは、俺が反応した場所を執拗に攻め始めた。

耳を舐められながら、内腿を撫でられ、同時に乳首を指で転がされる。

「あ……だめ……おかしくなる……」

「お姉ちゃんのことなんか思い出せないくらい、私の快感で上書きしてあげる」

結菜ちゃんは、再び俺の股間に顔を埋めた。

「次は、寸止めしないであげる。そのかわり、私の言うこと、聞いてくれる?」

「……なん、だ……?」

「イくとき、『真帆より、結菜ちゃんがイイ』って言って」

「……な……! そんなこと、言えるわけ……!」

「じゃあ、おあずけ」

結菜ちゃんは、また乳首を摘んできた。

「あぎぃぃっ! わかっ、わかった! 言う! 言うから!」

「ふふっ。素直でよろしい」

結菜ちゃんの、地獄の奉仕が再開された。

「じゅるるるっ! ぐちゅっ! んちゅっ!」

さっきよりも激しく、貪欲に、俺のものが吸われていく。

乳首も、同時に責められ続ける。

「ああっ! ああっ! もう、だめ、イくっ!」

「はい、言って?」

「ま、真帆より……っ」

「ん?」

「真帆より……結菜ちゃんが……イイです……っ!」

言った。

俺は、愛する妻を裏切る言葉を、その妹の前で叫んでしまった。

「……あぁぁぁぁぁっ!」

俺は、真帆のネグリジェを着た結菜ちゃんの口の中に、すべてを放出した。


その二泊三日は、文字通りの地獄だった。

俺は、結菜ちゃんに「開発」され尽くした。

夫婦の寝室で、リビングで、キッチンで、あろうことか、真帆が大切にしているベランダの家庭菜園の前で。

俺は、何度もメスイキさせられ、何度も寸止めされ、快楽で精神が壊れる寸前まで追い込まれた。

結菜ちゃんは、俺が搾り出せる最後の一滴まで、容赦なく搾り取っていった。


研修から、真帆が帰ってきた。

「ただいまー! あー、疲れた! 寂しかった?」

「……あ、ああ。おかえり、真帆」

俺は、妻の顔をまともに見れなかった。

「あれ? 結菜は?」

「さっき、帰ったよ。学校があるからって」

「そっかー。結菜にちゃんとお礼言っとかないと。……あれ、どうしたの? なんか、ぐったりしてる」

「……いや、ちょっと、寝不足で……」

「もう、無理しちゃダメだよ? 私がいない間、ちゃんと休まないと」

真帆が屈託なく笑う。

「結菜、ちゃんとご飯作ってくれた? あの子、張り切りすぎるところあるから、お義兄さん疲れさせなかった?」

「……あ、ああ。ちゃんと、作ってくれたよ……」

真帆の優しさが、ナイフのように俺の胸に突き刺さる。

俺の体には、結菜ちゃんにつけられた、無数のキスマークが残っていた。服で隠れる場所ばかりを、狙って。

俺の乳首は、赤く腫れ上がり、下着が擦れるだけで疼いた。


日常が、戻ってきた。

いや、戻ってきたように見えただけだ。

真帆が夜勤の日。

「今日、夜勤なんだ。結菜に行ってもらうね」

真帆が電話でそう告げる。

その言葉は、以前とはまったく違う意味を持って俺の耳に響いた。

それは、地獄の合図。

いや、快楽の合図だ。

俺の体は、結菜ちゃんを求めるように調教されてしまった。

真帆への罪悪感に苛まれながらも、心のどこかで、あの背徳的な快感を待っている自分がいる。

今日も、真帆が夜勤だ。

俺はリビングのソファで、静かにその時を待っている。

真帆を愛している。それは、本当だ。

だが、俺は、あの夜から、義妹・結菜ちゃんの「奴隷」になった。

カチャリ、と玄関の鍵が開く音がした。

「ただいま、お義兄さん」

真帆への罪悪感が強ければ強いほど、結菜に与えられる快感が鋭くなることを、俺はもう知ってしまっていた。

俺の、地獄のような幸福の夜が、また始まる。

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