常闇の宿、双子の座敷童子による濃厚な「お清め」
「私たち、お兄さんみたいな『ご馳走』が大好きなの♡」 霊脈が歪む宿坊『弓張亭』。 潜入調査に訪れた退魔師・如月静真を待ち受けていたのは、無邪気で残酷な双子の座敷わらしだった。 強力な金縛りで自由を奪われた彼は、幼い肢体による執拗な責め苦に溺れていく――。
山霧が獣の呼気のように立ち込める常闇連山の奥深く、その宿坊――弓張亭(ゆみはりてい)はあった。
車も通えぬ参道を半日近く歩き続け、ようやく辿り着いた俺、如月静真(きさらぎ しずま)の前にあったのは、時代に取り残されたというより、時代から拒絶されたような古びた木造建築だった。
「これより先、生者必滅(しょうじゃひつめつ)」
師から渡された地図の端に書かれた、悪趣味な冗談。だが、この弓張亭に漂う空気は、その言葉を冗談で済ませてくれないほどに淀んでいた。
俺は退魔師の家系、如月流の次期当主。今回の「霊脈調査」は、表向きは修行の一環だが、実態は「神隠し」が多発するというこの宿への潜入調査だった。
「ようこそおいでくださいました、お客様」
出迎えた女将は、能面のように感情の読めない顔で深々と頭を下げた。
通された「桐の間」は、古いながらも清掃は行き届いている。だが、畳の下を這う強大な霊脈が、まるで苦痛にのたうつように脈打っているのが肌で分かった。
「……なるほど。これでは歪む」
この宿は、強すぎる龍脈の「結び目」に建てられている。そして、何者かがその流れを意図的に捻じ曲げている。
俺は荷を解くと、早速準備に取り掛かった。部屋の四隅に清めの塩を盛り、壁の四方に師から預かった護符を貼る。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前」
九字を切り、霊力を練り上げながら、部屋全体に薄い結界を展開する。
これで少なくとも、下級の雑魚が入り込むことはない。
問題は、この淀みの「核」だ。
夜が更け、山は完全な静寂に包まれた。
いや、静寂ではない。耳鳴りのような、微かな「音」がする。
鈴の音?
違う。子供の、忍び笑いのような……。
ぞわり、と背筋が粟立った。
結界が、揺らいでいる。
貼ったばかりの護符が、じりじりと黒く焦げるような異臭を放ち始めた。
「まずい、本命か……!」
慌てて印を組み直そうとした、その時だった。
「あーそーぼ♡」
「みーつけた♡」
声は、すぐそばから聞こえた。
いつの間に。結界は破られていない。すり抜けた?
俺が敷いたばかりの布団が、もこりと二箇所、小さく膨らんだ。
「っ! 出でよ、悪霊!」
咄嗟に布団を蹴り飛ばす。
そこには、誰もいなかった。
「あはっ。お兄さん、こっちよ♡」
「こっち、こっち♡」
振り返った俺の目に飛び込んできたのは、部屋の隅にちょこんと座る、二人の少女だった。
揃いのおかっぱ頭。血のように赤い、振袖の着物。
見た目は五つか六つ。
だが、その足は、ない。床から数寸、ふわりと浮いている。
座敷わらし。
だが、この禍々しい気配はなんだ。
彼女たちの周囲だけ、空気が粘土のように重く、甘ったるく腐臭がする。
「お兄さん、お客様ね?」
「お疲れでしょう。私たちと、遊びましょう?」
二人は同時に立ち上がり、ゆらり、とこちらへ近づいてくる。
「……お前たちの仕業か。この地の霊脈を歪ませているのは」
俺は懐から短刀(護身刀)を引き抜き、切っ先を向ける。
少女たちは、きゃらきゃらと無邪気に笑った。
「こわーい♡」
「でも、そんなもの、お兄さんには似合わないわ♡」
「お客様、お疲れでしょう?」
右側の、目の下に泣きぼくろがある方が、くすりと笑う。
「私たちが、お清めしてあげます♡」
「そうよ、『お祓い』してあげる♡」
左側の、口元にほくろがある方が、舌なめずりをした。
「私はお蜜(みつ)♡」
「私はお葉(よう)♡」
「「二人合わせて、お客様を『おもてなし』するの♡」」
同時に、二人がすっと両手を差し出す。
「縛(ばく)!!」
空気が、固まった。
いや、俺の身体が、固められた。
「なっ……!?」
金縛りだ。だが、ただの金縛りではない。
霊力で編まれた、ねっとりとした無数の「糸」が、俺の手足に、胴体に、首筋にまで絡みつき、布団の上へ引き倒していく。
「ぐ……! この、程度で……!」
俺は霊力を振り絞り、拘束を引きちぎろうともがく。
「だーめ♡」
「いい子にしてないと、もっと痛くしちゃうわよ♡」
二人の小さな手が、俺の顔に伸びてくる。
抵抗しようにも、指一本動かない。
ひんやりとした、陶器のような指先が、俺の瞼を優しく撫で、そのまま視界を塞いだ。
「さあ、お清めの、始まりよ♡」
「お兄さんの、隅々まで……ねっとりと♡」
闇に落とされた視覚の代わりに、他の感覚が嫌というほど研ぎ澄まされていく。
布団がきしむ音。二人の子供が、俺の身体に乗り上げてくる、わずかな重み。
そして、甘い、熟れすぎた果実のような、むせ返る匂い。
「う……!」
「あはっ。いい匂いでしょう? 私たち、お兄さんみたいな『ご馳走』が大好きなの♡」
右側の少女――お葉が、俺の右耳に息を吹きかけた。
「ひっ……!」
ぞわぞわと、快感じみた悪寒が背骨を駆け下りる。
「お兄さん、ここ、弱いのね♡」
「ねえ、お蜜。こっちも、カチカチよ♡」
左側の少女――お蜜――が、俺の左の乳首を、着物の上から指先でこり、と弾いた。
「んぐぅっ!?」
なんだ、この感覚は。
ただ触れられただけだ。だというのに、乳首の先端から脳天に向けて、稲妻が突き抜けたような鋭い刺激が走った。
「や、やめ……」
「やめないわ♡ お清めだもの。汚れがなくなるまで、ね♡」
お葉の小さな手が、俺の帯にかけられた。
するりと解かれ、浴衣の合わせ目がゆっくりと開かれていく。
ひやりとした夜気が、汗ばんだ素肌に触れた。
「わぁ……鍛えてるのね♡」
「でも、こんなに感じやすい身体じゃ、意味ないわよねぇ♡」
お蜜が、俺の左胸に顔を寄せた。
そして、あろうことか、小さな口を開き、固く尖った乳首を、ぱくりと含んだ。
「んんん――――ッ!?」
声にならない悲鳴が喉の奥で詰まる。
熱い。
濡れている。
小さな舌が、乳首の先端を舐め上げる。
ざらり、とした猫の舌のような感触が、敏感になった突起を執拗に転がし、こね回す。
「んっ……ふ、ぁ……う、く……!」
駄目だ。こんな、こんな子供に、何をされている。
羞恥と屈辱で頭が沸騰しそうだ。だが、身体は正直だった。
快感が、胸の一点から津波のように全身に広がっていく。
腰が、勝手に、わずかに浮いた。
「あはっ♡ お蜜、ずるーい♡」
「じゃあ、私はこっちをいただくわ♡」
お葉の声が、股間の方から聞こえた。
まさか。
「だ、め……そこは……」
金縛りの中で、必死に懇願する。
お葉は、くすくすと笑いながら、俺の昂りかけた下腹部に、その小さな手を置いた。
「……!」
熱い。
彼女の手も、まるで熱した鉄を当てられたかのように熱い。
「お兄さん、私たち『座敷わらし』なの。でもね、ただの座敷わらしじゃないのよ」
お蜜が、乳首を吸いながら、くぐもった声で言う。
「お客様の、『精気』をいただくの♡」
「元気な精気ほど、美味しい……♡」
お葉が、下着の上から、俺の昂りをゆっくりと撫で上げた。
「う、ひ……ぁ……!」
さわ、さわ、と布地が擦れる感触。
それだけなのに、背骨に甘い痺れが走る。
彼女たちの妖術だ。俺の身体の感度を、異常なまでに高めている。
「ん……っ、んちゅ……♡」
お蜜の舌使いが、さらにねっとりと、執拗になる。
吸う。舐める。転がす。そして、軽く、歯を立てる。
「あ、あ、あああっ!」
「こらえなくていいのよぉ。お客様は、気持ちよくなってくれれば、それで♡」
お葉の手が、下着の隙間に滑り込んできた。
冷たい指先が、熱く脈打つ本体に、直接触れた。
「ひぃぃぃっ!」
ぞくり、と、快感の奔流が身体を貫いた。
握られ、扱かれ、先端の敏感な部分を、爪の先でかり、と引っ掻かれる。
「んぐ……! ぁ、く……!」
胸と、股間と。
幼い二人の少女に、同時に、身体の最も敏感な二箇所を責め立てられる。
抵抗できない。
逃げ場もない。
快感が、思考を麻痺させていく。
俺は退魔師だ。こんな、妖怪ごときに……。
「……こんなの、お清めじゃないわ」
不意に、お蜜が乳首から口を離した。
「もっと、ちゃんとした『お祓い』をしなくちゃ♡」
「そうね♡ どっちが先にお兄さんをイかせられるか、勝負よ♡」
お葉が、俺の股間から手を離す。
一瞬、快感から解放され、俺は荒い息をついた。
だが、それは、地獄の始まりに過ぎなかった。
「じゃあ、いくわよ♡」
お蜜が、俺の右側に回り込んだ。
「ずるーい♡ お葉もそっちがいい♡」
お葉も、左側に回り込む。
二人の小さな身体が、俺の胴体を左右から挟み込む。
そして。
「んぐっ!?」
右の乳首に、再びお蜜の熱い口が吸い付いた。
「ひあっ!?」
同時に、左の乳首を、お葉が指先で強く、早く、こすり始めた。
「あ、ああ、ああっ! ま、待っ……!」
左右から同時に、違う刺激で乳首を攻められる。
熱くて濡れた快感と、乾いて焦れるような快感。
頭がショートしそうだ。
「それだけじゃ、ないわよ♡」
お葉が、くすりと笑う。
乳首を指で弄びながら、もう片方の手を、俺の股間へと伸ばす。
「!?」
そして、お蜜も。
乳首を吸いながら、もう片方の手を、俺の股間へ。
「な……にを……」
二人の、四つの小さな手が、俺の硬く昂ったペニスを、同時に掴んだ。
「う、あ……あああっ!」
信じられない。
二人の手が、まるで連携するように、根本から先端へと、交互に扱き上げていく。
一本の手が根本を締め上げると、もう一本の手が先端をこする。
一本の手が裏筋を撫でると、もう一本の手が竿全体を握りしめる。
「どっちが、気持ちいい?♡」
「私の手? それとも、お蜜の手?♡」
「ん……んちゅ……♡」
お蜜は、俺の問いかけなど聞こえていないかのように、乳首を吸うのに夢中になっている。
「あ、ああ、あ、あ……!」
快感が飽和している。
乳首は左右から責められ、股間は四つの手で弄ばれる。
思考が溶ける。
俺は、もう、退魔師でも何でもない。ただ、快感に喘ぐだけの、雄の肉塊だった。
「だ……め……いく……イッちゃう……!」
限界だった。
もう、何も考えられない。
射精の衝動が、下腹から突き上げてくる。
「あはっ♡ もう?♡」
「じゃあ、ご褒美をあげる♡」
お葉が、手を止めた。
代わりに、俺の股間に顔を寄せる。
「え……」
「お蜜、あなたもよ♡」
お蜜が、乳首から口を離し、唾液できらきらと光る唇で、俺の股間を覗き込む。
「わぁ……♡」
「じゃあ、いくわよ……せーのっ♡」
二つの、小さな口が。
同時に。
俺の、ペニスに。
「んんん―――――――ッッッ!!!」
言葉にならない絶叫が、喉からほとばしった。
熱い。
熱すぎる。
二つの口が、競い合うように、俺のペニスを呑み込んでいく。
お葉が深く吸い上げれば、お蜜が先端を舌でねぶる。
お蜜が真空のように吸い付けば、お葉が裏筋を歯で軽くこする。
同時に、空いた二人の手が、再び俺の乳首を掴み、強く、強く、こね回した。
「あ、あ、あ、あああっ! ああああああああっ!」
もう、無理だ。
抵抗も、羞恥も、退魔師としての誇りも、何もかもが快感の濁流に飲み込まれて消えた。
「んっ……んぐ……♡」
「んちゅ……ふぐ……♡」
二人の喉が、ごくり、と鳴る。
俺の、昂りの根本までしゃぶり尽くそうと、必死に吸い付いてくる。
「イくっ……イく、イく、イくぅぅぅぅ―――――っ!」
全身が硬直し、弓なりに反り返った。
熱い奔流が、俺の下腹から迸る。
その瞬間。
快感とは違う、別の感覚が全身を襲った。
「あ……ぁ……?」
射精と同時に、身体の芯から「何か」が引きずり出されていく。
霊力だ。
俺がこれまで鍛錬してきた、如月流の清らかなる霊力が、精液と共に、根こそぎ吸い上げられていく。
「あ……ああ……力が……抜ける……!」
二人の妖怪が、俺の霊力を、まるで極上の蜜のように、ごくごくと飲み干していく。
「ん……♡ んく……♡」
「おいし……♡」
彼女たちの頬が、朱に染まる。
そのおかっぱ頭が、濡れたように艶を増していく。
俺は、なす術もなく、霊力を吸い取られ続けた。
快感の絶頂は、そのまま霊力の枯渇へと繋がり、俺の意識は急速に遠のいていく。
「あはっ♡」
「お兄さん、もう空っぽだ♡」
ぺろり、と唇を舐めながら、二人の少女が俺の顔を覗き込む。
その目は、無邪気でありながら、底知れないほどの古(いにしえ)の闇を湛えていた。
「ごちそうさまでした♡」
「とっても、美味しかったわ♡」
俺の身体を縛っていた金縛りが、ふっと解ける。
だが、もう動く力は残っていなかった。
壁に貼った護符は、すべてが真っ黒な灰と化して、はらりと床に落ちた。
「明日も、いっぱい『お清め』してあげるね♡」
「そうよ。お兄さんの『汚れ』、ぜーんぶ、私たちがお掃除してあげる♡」
お葉とお蜜が、俺の冷たくなった頬に、ちゅ、とキスをした。
「おやすみなさい、お客様♡」
意識が途切れる直前、俺は理解した。
この宿坊、弓張亭は、彼女たちの「餌場」だ。
歪められた龍脈は、訪れる客の霊力を増幅させるための「仕掛け」。
そして俺は、霊力を回復させるたびに、この双子の「お客様」として、永遠にこの部屋に幽閉され、彼女たちの「遊び道具」として、養分を搾り取られ続けるのだ。
もう、逃げることはできない。
この、甘く、ねっとりとした、快楽の地獄からは。永遠に。