メンズエステ・イヴ ~3人の女神と罰金3万円の甘い罠~

「イったら罰金3万円。でも、止められない――」 疲れたサラリーマンが迷い込んだのは、謎めいたメンズエステ『イヴ』。そこには、残酷なルールと極上の快楽が待っていた。

都会の喧騒から少し離れた、古びた雑居ビルの三階。そこに『リラクゼーションサロン・イヴ』はあった。

僕、坂本健二は、エレベーターの鏡に映る自分の顔を覗き込んだ。目の下には色濃いクマがあり、肌は乾燥して荒れている。三十路を前にして、連日の残業続き。心身ともにすり減らした僕は、週末の唯一の楽しみとして、ネットで見つけたこの店を予約したのだった。

「極上の癒やしと、少しのスリルを」

そんなキャッチコピーに、少しばかりの下心を抱かなかったと言えば嘘になる。だが、基本的には疲れた体をほぐしてもらえればそれでよかった。普通のメンズエステ。そう思っていた。

扉を開けると、甘ったるいアロマの香りが鼻腔をくすぐる。照明は極限まで落とされており、外界とは隔絶された異界のような静けさが漂っていた。

「いらっしゃいませ、坂本様でお間違いないでしょうか」

受付の奥から現れた女性を見て、僕は少し拍子抜けした。 黒髪を後ろでひっつめにし、銀縁の眼鏡をかけた知的な顔立ち。服装も露出の少ない黒のパンツスーツだ。店の妖しげな雰囲気とは裏腹に、彼女からは堅い事務員のような印象を受ける。

「あ、はい。予約していた坂本です」 「お待ちしておりました。担当させていただきます、沙夜子(さよこ)と申します」

深々とお辞儀をする彼女の所作は美しかったが、どこか冷ややかで、事務的だった。やはり、過度な期待はしない方がいいか。僕は内心で苦笑しつつ、案内された個室へと入った。

部屋は六畳ほどの広さで、中央に施術用のベッドが置かれている。

「では、こちらに着替えてお待ちください」

沙夜子さんが手渡してきたのは、手のひらに収まるほど小さな包みだった。開けてみると、それはペラペラの紙で作られた、極小の使い捨てパンツだった。 (……メンズエステって、みんなこんな感じなのか?) 羞恥心を覚えつつ、僕はスーツを脱ぎ、その頼りない紙パンツ一枚になってベッドにうつ伏せになった。


コン、コン。 控えめなノックの後、沙夜子さんが入ってきた。

「失礼いたします。……お疲れのようですね」 「ええ、まあ……仕事が忙しくて」 「そうですか。では、今日はたっぷりとリンパを流して、老廃物を排出していきましょうね」

耳元で囁かれた声は、受付の時の事務的なトーンとは少し違って聞こえた。どこか湿り気を帯びた、艶のある響き。 彼女の手が、僕の背中に触れる。 たっぷりとオイルを含んだ手が、肩甲骨のあたりを滑る。

ぬるり。

温かいオイルの感触と、彼女の体温が伝わってくる。

「……凝ってますね」 「あ、痛っ……そこ、効きます」 「ふふ、少し強めに流していきますね」

ぬちゅっ、ぬちゅぅ……。

オイルが肌と肌の間で鳴る音が、静かな室内に響く。 沙夜子さんのマッサージは、驚くほど上手かった。華奢な指先からは想像できないほどの力強さで、凝り固まった筋肉を的確に捉え、ほぐしていく。 背中から腰、そしてお尻のあたりまで、オイルに塗れた手が這いまわる。 心地よい圧迫感と、オイルのぬめり。僕は泥のように重たかった体が、徐々に軽く、熱を帯びていくのを感じていた。 これなら、普通にマッサージとして満足できそうだ。そう思い始めていた時だった。

「では、仰向けになってください」

言われるがままに、僕は体を反転させる。 薄暗い照明の中、僕は思わず息を呑んだ。 ベッドの脇に立つ沙夜子さんの姿が、先ほどとは変わっていたのだ。

いつの間にかジャケットを脱ぎ捨てており、彼女が身に着けているのは、背中が大きく開いたホルターネックのニットと、深いスリットの入ったタイトスカートだけになっていた。 ニットは胸の形をあからさまに強調しており、薄い生地越しに乳首の突起すら予感させる。

「……沙夜子、さん?」 「はい。ここからが、本番のリンパドレナージュです」

眼鏡の奥の瞳が、妖しく光った気がした。 彼女はオイルボトルを手に取ると、僕の鎖骨のあたりに垂らした。 とろり、と温かい液体が胸板を伝って流れ落ちる。

「お客様、当店には少し変わったルールがございます」 沙夜子さんは、僕の胸にオイルを塗り広げながら、淡々とした口調で言った。 「ルール?」 「はい。当店はあくまで健全なリラクゼーションサロンです。性的サービスは一切行っておりません」

彼女の指が、僕の乳首の周りをくるくると円を描くように撫でる。

「ですが……マッサージの効果で血流が良くなり、男性機能が元気になってしまうことは、生理現象として仕方がないことと理解しております」

指先が、ちろりと乳首の先端を掠める。

「ひゃっ……」 思わず変な声が出た。

「ふふ。……ただし、ここからが重要です」 沙夜子さんは顔を近づけ、僕の耳元に唇を寄せた。 「もし、施術中に我慢できずに射精されてしまった場合……シーツやタオルを汚したクリーニング代、および迷惑料として、罰金三万円を頂戴いたします」 「さ、三万……!?」 予想外の高額に、僕は目を見開いた。 「はい。あくまで『我慢できずに』出してしまった場合です。私たちはおちんちんには一切触れませんから、普通にマッサージを受けていれば、イくことなんてありませんよね?」

にっこりと微笑む沙夜子さん。その笑顔は、聖女のように優しく、そして悪魔のように残酷に見えた。

「も、もちろん……マッサージを受けに来ただけですから」 「よかったです。では、安心して施術を続けさせていただきますね」

そう言うと、沙夜子さんは僕の足元に移動した。 たっぷりとオイルを塗り込まれた両手が、足首からふくらはぎ、そして太ももへと這い上がってくる。

ぬるぅ……ぬちゅぅ……。

内太ももの柔らかい肉を、指の腹でじっくりと揉み解される。

「ここはリンパが溜まりやすいんです。痛くないですか?」 「だ、大丈夫です……」

嘘だった。痛くはないが、別の意味で大丈夫ではなかった。 内股をまさぐられる感覚は、ダイレクトに股間の中心へと刺激を伝えてくる。 それに、足元にいる沙夜子さんの体勢だ。 前かがみになった彼女の胸元から、豊かな双丘がこぼれ落ちそうになって揺れている。 視覚的な刺激と、際どい箇所へのマッサージ。 僕のイチモツは、薄い紙パンツの下で、見る見るうちに鎌首をもたげ始めていた。 (まずい……これじゃあ、勃起してるのが丸わかりだ) 恥ずかしさに顔が熱くなる。だが、沙夜子さんは気にする素振りも見せず、むしろ楽しむかのようにマッサージを続ける。

「あら……随分と元気になられましたね」 「す、すみません……生理現象で……」 「ふふ、構いませんよ。血流が良くなっている証拠ですから」

沙夜子さんの手が、太ももの付け根、鼠径部(そけいぶ)に差し掛かる。 そこは、性器のすぐ隣だ。

「ここのリンパを流すと、老廃物がドバっと出るんです。……詰まってますねぇ」

ぐり、ぐり、と親指で鼠径部を圧迫される。

「うっ、ぁ……!」

性器の根元に響くような刺激。 彼女の手の甲や手首が、時折、紙パンツ越しに膨れ上がったペニスに触れるか触れないかの絶妙な距離を行き来する。 (あたる……いや、あたってない……?) 焦らし。 それは計算され尽くした焦らしだった。 直接触れてくれれば、あるいは楽になれるかもしれない。 だが、彼女は頑なに性器そのものには触れない。 あくまで「周辺」を、執拗に、ねっとりと攻め立てる。

「あっ、そこ……!」 「ここですか?気持ちいいですか?」

沙夜子さんは、僕の反応を楽しむように、鼠径部をなぞる指の動きを早める。

ぬちゃ、ぬちゃ、くちゅ……。

オイルの音が、卑猥な水音のように聞こえてくる。 僕のペニスは限界まで膨張し、紙パンツを突き破らんばかりに反り立っていた。先端からは我慢汁が滲み出し、紙を濡らして透明に透けさせている。

「ふふ、紙パンツがぐしょぐしょですね。……我慢汁、こんなに出して」 「み、見ないでください……」 「どうしてですか?健康な証拠ですよ。……でも、まだイっちゃだめですよ?罰金ですからね」 「わ、わかってます……!」

三万円。 その言葉が、理性の最後の砦となって僕を繋ぎ止めていた。 たかがマッサージで、そんな大金を払うわけにはいかない。 必死に別のことを考えようとする。明日の仕事のこと、上司の嫌味、溜まった洗濯物。 だが、沙夜子さんはそんな僕の抵抗を嘲笑うかのように、攻撃の矛先を変えた。

彼女は再び僕の顔の横に戻ってくると、自身のニットをまくり上げた。 露わになったのは、黒いレースのブラジャーに包まれた、白く豊満な胸。

「っ……!?」 「暑くなってきちゃいました。……坂本様も、暑いですよね?」

沙夜子さんは僕の胸に覆いかぶさるようにして、顔を近づける。 そして、僕の乳首に、ふぅーっ、と熱い息を吹きかけた。

「ひゃうっ……!」

敏感になっていた乳首が、熱風を受けてキュッと縮こまる。

「乳首、立っちゃってますね。可愛い」 「や、やめて……そこは……」 「ここも、リンパが詰まりやすいんですよ?」

彼女の指先が、乳首を摘まむ。 くりくり、こりこり。 オイルで滑る指先が、執拗に乳頭を転がす。

「あ、あぁ……っ!んくっ……!」

背筋に電流が走るような快感。 僕は思わずシーツを握りしめた。 男性の乳首がこんなに感じるなんて、知らなかった。 いや、彼女のテクニックが異常なのだ。 強弱をつけ、爪先で軽くひっかいたり、指の腹で優しく押し潰したり。

「声、我慢しなくていいんですよ。……気持ちいいって、言ってください」 「き、気持ちいい……です……っ」 「素直でいい子ですね。……でも、おちんちんはもっと素直みたい」

視線を下に向けると、僕のペニスはビクンビクンと脈打ち、先端から溢れる愛液が糸を引いていた。

「触ってないのに、こんなに大きくなって。……誰かに触ってほしいですか?」 「さ、触って……ほしい……」

本能が、理性を凌駕し始めていた。 もう罰金なんてどうでもいい。この苦しいほどの快楽の出口が欲しい。

「ふふ。ダメです。ルールですから」

沙夜子さんは冷たく突き放すと、今度は僕の耳元に舌を這わせた。 じゅるっ、れろぉ……。

「ひっ、あぁっ……!」

耳の穴の中に、濡れた舌が侵入してくる。 鼓膜を直接舐められているような、背筋がゾクゾクする感覚。

「まだ、イけませんよ。……私が『いいよ』って言うまで、我慢してくださいね」

彼女の左手が、再び鼠径部へと伸びる。 そして右手が、乳首を弄ぶ。 上下同時からの波状攻撃。

ぬちゅ、ぬちゅ、じゅるるっ……。

視覚、聴覚、触覚、そのすべてが快楽で塗りつぶされていく。

「あ、あ、もう、だめ、出るっ……!」 「まだです。……ほら、見てください」

沙夜子さんは体を起こすと、履いているタイトスカートのファスナーをゆっくりと下ろした。 するり、とスカートが床に落ちる。 そこには、股間の部分が大胆にカットされた、紐のような下着をつけただけの彼女の下半身があった。 黒い秘所の周りの肌は白く、その対比が強烈に脳に焼き付く。

「こっちを見ながら……我慢してくださいね」

彼女は僕の顔の上に跨るような体勢をとる。 ただし、顔には触れない。 目の前に、彼女のあられもない秘部がぶら下がっている。 そこから漂う、濃密な雌の香り。

「あ、あ、あ……!」 「おちんちん、触ってないですよ?……それでも、イっちゃうんですか?」

彼女の言葉が、呪文のように響く。 触られていない。 手で扱かれているわけでも、口で吸われているわけでもない。 ただ、乳首を弄られ、鼠径部を圧迫され、目の前の極上の景色を見せつけられているだけ。 それなのに。 限界まで膨れ上がった風船が、針でつつかれるのを待っているかのように。 僕の股間は爆発寸前だった。

「い、いくっ、もう、イくっ……!」 「三万円ですよ?本当にいいんですか?」 「いいっ!払う!払うからぁっ!」

金銭感覚すら麻痺するほどの快楽。

「ふふ。……じゃあ、どうぞ。全部、出しちゃってください」 沙夜子さんが、乳首を強くつねり上げた瞬間。

ドクンッ!

僕のペニスは、誰の手も借りることなく、空に向かって精液を噴出させた。

「あ、あぁぁぁぁぁぁっ……!!!」

ビュッ、ビュルルッ!ビュッ!

白濁した液体が、放物線を描いて僕自身の腹や胸、そして沙夜子さんの綺麗な指にかかる。 何度も、何度も、痙攣と共に熱い塊が吐き出される。 触れられていない分、尿道の奥から根こそぎ絞り出されるような、長く、深い絶頂だった。 目の前が真っ白になり、全身の力が抜けていく。 荒い息遣いだけが、静かな部屋に響いていた。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

僕は虚脱感の中で、天井を見上げていた。 やってしまった。 手も触れられずに、イかされてしまった。

「ふふ……随分とたくさん出ましたね」

沙夜子さんは、精液で汚れた僕の体を見て、妖艶に微笑んだ。

「約束通り、罰金三万円になります。……でも、とっても気持ちよさそうな顔をしていましたよ」

彼女はティッシュを取り出し、僕の体を拭き始める。 その手つきは優しく、まるで子供をあやす母親のようでもあった。

「すみません……我慢、できませんでした」 「いいえ。それだけ溜まっていたということでしょう。……また、溜まったら来てくださいね。次はもっと、我慢できるように練習しましょうか」


会計時、僕は言われた通りに正規の料金に加えて三万円を支払った。 財布の中身は軽くなったが、不思議と後悔はなかった。 むしろ、あの極限の寸止めと、触れられずにイかされた時の脳が溶けるような快感が忘れられなかった。 帰り道、夜風に当たりながら、僕の股間はまだ微かに疼いていた。 (また、行きたい……) その思いは、確信めいた衝動となって僕の中に根付いていた。

数日後。 僕は再び『イヴ』の予約サイトを開いていた。 指名はもちろん、沙夜子さんだ。 だが、予約画面には『本日欠勤』の文字。 落胆したが、体はもうあの快楽を求めて疼き出している。 (他の娘でも、あのサービスはあるんだろうか……) 魔が差した僕は、あえて指名なしで予約を入れた。 店に向かう足取りは、前回よりもずっと軽かった。

「いらっしゃいませ~!坂本さんっすね!」

今回担当になったのは、沙夜子さんとは対極的な雰囲気の女性だった。 明るい茶髪を巻き髪にし、派手なメイクをしたギャル風の女の子。名札には『玲奈(れな)』とある。

「あ、どうも……」 「沙夜子さん休みで残念でしたね~。でも、アタシもマッサージには自信あるんで!よろしくでーす!」

軽いノリで個室に通される。 前回の静謐な雰囲気とは違い、彼女がいるだけで部屋の空気が少し浮ついたものになる。 だが、着替えの紙パンツを手渡される手順は同じだった。

「んじゃ、始めまーす」

玲奈さんのマッサージは、沙夜子さんのような繊細さとは違い、ダイナミックで密着度が高かった。

「凝ってますね~!これじゃ仕事大変っしょ?」

グイグイと体重を乗せて背中を押すたびに、彼女の豊満な胸が僕の背中に押し当てられる。

「あ、あの、あたってます……」 「ん?なにが~?気にしない気にしない!」

ケラケラと笑いながら、彼女はわざとらしく体を擦り付けてくる。 (この娘も、やっぱり……) 予感は的中した。 仰向けになった途端、玲奈さんは着ていたパーカーを脱ぎ捨てた。 下に着ていたのは、面積の少ないビキニのような衣装。健康的な小麦色の肌が眩しい。

「あ、お客さん、ウチのルール知ってますよね?」 玲奈さんはニヤリと笑い、ガムを噛むように口を動かした。 「触らないけど、イったら罰金。……アタシの場合、ちょっと厳しいっすよ?」

そう言うと、彼女はオイルをたっぷりと手に取り、僕の太ももに塗りたくり始めた。

「沙夜子さんはジワジワ系らしいけど、アタシはいじめっ子なんで!」

玲奈さんの手が、猛スピードで内太ももを上下する。 ぬちょ、ぬちょ、ぬちょ、ぬちょ! 激しい音と共に、強烈な刺激が鼠径部を襲う。

「ひっ、あ、ちょっ、激しっ……!」 「これくらい平気っしょ?ほら、ここ!リンパ詰まってる~!」

彼女の長い爪が、際どいラインをカリカリと引っ搔く。

「あ、あぁっ!?」 「お、もうビンビンじゃん!早すぎ~ウケる!」

僕のペニスは、彼女の奔放な刺激にあっという間に反応し、反り立っていた。

「ねえねえ、これ見てよ」 玲奈さんは、自分のビキニの紐を指で摘まんだ。 「アタシのここ、どうなってると思う?」 するり、と紐が解かれる。 「見たい?見たいっしょ?」 「み、見たい……です……」 「素直でよろしい!……じゃあ、特別に見せてあげるけど、手は出さないでね?」

彼女はビキニのボトムを少しずらし、秘所が見えるか見えないかのギリギリのラインを見せつけてくる。

「ほら、ここ。……濡れてるかもよ?」 「っ……!」

視覚的な暴力。 健康的なエロティシズムに、脳が沸騰しそうだ。

「あ、我慢汁やば!これもうイっちゃうんじゃない?」

玲奈さんは僕の反応を面白がり、さらに攻め立てる。 今度は、オイルで滑る足を使い、僕の足を割り開いた。

「ここ、踏んであげよっか?」

彼女の足の裏が、僕の会陰(えいん)部分、金玉の裏側あたりをグニグニと刺激する。

「う、ぐぅっ……!そこ、は……!」 「前立腺ってとこ?ここ弱いんでしょ?知ってるよ~」

足の指が、巧みにツボを刺激する。 直接ペニスには触れていない。だが、根元を揺さぶられるような感覚に、射精感が一気に込み上げる。

「だ、だめ、出る、出るっ!」 「出せば~?三万円だけど!」 「ぐ、うぅぅぅ……!」 「ほらほら、アタシのマンあし、気持ちいいっしょ?もっとイキたい顔してよ!」

玲奈さんは楽しそうに笑いながら、足の動きを早める。 太ももの内側を踵で擦り上げ、足指で会陰を抉る。 同時に、彼女の顔が近づき、甘い香水の香りが鼻を突く。

「イっちゃえ!イっちゃえ!」 囃し立てるような声。 極限の興奮状態。

「あ、あ、あああああッ!!!」

ドピュッ!

二度目の敗北。 またしても、手を使われることなく、僕は白濁をまき散らした。

「あはは!すっご!めっちゃ飛んだじゃん!」 玲奈さんは手を叩いて喜んでいる。 「はい、三万円まいどあり~!……坂本さん、意外とドMっすね?」 「はぁ、はぁ……そ、そうかも……」

否定できなかった。 精液に塗れ、情けない姿を晒しながらも、僕の心は奇妙な充足感に満たされていた。 清楚な沙夜子さんによる冷ややかな焦らし。 奔放な玲奈さんによる嘲笑と責め。 どちらも、抗いがたい魅力があった。 罰金という名の貢物を捧げ、尊厳を切り売りすることで得られる快楽。 僕は完全に、この『イヴ』という底なし沼に嵌まり込んでいた。


それからというもの、僕は給料のほとんどをこの店に注ぎ込むようになった。 沙夜子さんを指名する日もあれば、玲奈さんを指名する日もある。 時には、全く触れられずにイかされ、時には寸止めを繰り返されて生殺しにされたまま帰されることもあった。

「今日はイかせませんよ。……溜めておいてくださいね」

沙夜子さんに冷たく言われ、パンパンに張った股間を抱えて帰宅する夜の、なんと切なく、そして甘美なことか。 自分では決して処理してはいけないという言いつけを守り、次の来店までひたすら耐える。 そうして限界まで高まった性欲を、店で解放する瞬間のカタルシス。 それは何物にも代えがたい麻薬だった。

そして、通い詰めて数か月が経ったある日。 いつものように予約を入れようとすると、店長からメッセージが届いた。

『坂本様、いつもご愛顧ありがとうございます。長らく通っていただいている坂本様に、今回は特別コースをご用意いたしました。ぜひご体験ください』

特別コース。 その響きに、僕の胸は高鳴った。 これ以上の快楽が、まだあるというのか。 期待と、少しの恐怖を抱きながら、僕は店へと向かった。

案内されたのは、いつもの個室ではなく、少し広めのVIPルームだった。

「お待ちしておりました、坂本様」

そこには、いつものように妖艶な笑みを浮かべた沙夜子さんが立っていた。 そして、その隣には。

「おっす~!坂本さん、今日も搾られに来たの?」

玲奈さんが、ニヤリと笑いながらガムを噛んでいる。 さらに、もう一人。 見たことのない、小柄な少女がソファに座り、携帯ゲーム機をピコピコと操作していた。 ツインテールに、生意気そうな吊り目。見た目は幼いが、醸し出す雰囲気は小悪魔そのものだ。

「あ、この人?例の変態おじさんって」 少女はゲーム機から目を離し、僕を品定めするようにジロジロと見た。 「……ふーん。なんか、弱そう」 「こら、美雨(みう)。お客様に対して失礼でしょ」

沙夜子さんがたしなめるが、その口調には本気で怒っている様子はない。

「えー、だって事実じゃん。……ま、いいや。アタシも混ぜてよ。面白そうだし」 美雨と呼ばれた少女は、ニシシと意地悪そうに笑った。

「坂本様。本日は、私たち三人で……たっぷりと、可愛がらせていただきますね」 沙夜子さんの言葉に、僕はゴクリと喉を鳴らした。 三人掛かり。 想像しただけで、脳がショートしそうだ。

「特別コースのルールはご存じですか?」 「い、いえ……」 「基本は同じです。おちんちんには触りません。……ですが、今回は罰金はありません」 「え?」

罰金がない?それはつまり、出し放題ということだろうか? 安堵した僕に、玲奈さんが意地悪く告げた。

「その代わり、アタシたちが『イっていいよ』って言うまでは、絶対出しちゃダメ」 「もし勝手にイったら……」

玲奈さんが含みのある笑みを浮かべる。

「この部屋から朝まで出しません。延長料金なしで、一滴も出なくなるまでドライで責め続けて……完全に壊れてもらいますから」

玲奈さんの言葉に、沙夜子さんが冷ややかな微笑みで頷く。 「覚悟は、よろしいですか?」

沙夜子さんが、ゆっくりと僕に近づいてくる。 逃げ場はない。 これは、天国への招待状か、それとも地獄への片道切符か。 僕は震える声で、答えた。

「お、お願いします……」

三人の魔女たちによる、饗宴の幕が上がった。


広いVIPルームの空気が、ねっとりと重たく澱んでいくのがわかった。 三人の女性が放つ体温、甘い香水、そしてマッサージオイルの匂いが混じり合い、理性を溶かす毒ガスとなって僕の肺を満たしていく。

「じゃあ、始めましょうか。坂本様、まずはうつ伏せになってください」

沙夜子さんの静かな声に従い、僕はのろのろとベッドに横たわった。 視界が遮られると、聴覚と触覚が異常なほど鋭敏になる。 衣擦れの音。吐息。誰かがオイルボトルを手に取る音。 それらが、四方八方から聞こえてくる。

「アタシ、足やるねー」 玲奈さんの明るい声が足元から。 「じゃあ、私は背中を」 沙夜子さんの声が頭上から。 「……んー、じゃあアタシは見てる。つまんなかったら帰るし」 美雨ちゃんの気だるげな声が、ソファの方から聞こえた。

とぷ、とぷ……。 大量のオイルが背中とふくらはぎに同時に垂らされる。

「ひゃぅっ……!」 思わず声が漏れた。 二か所同時。それだけのことで、脳の処理が追いつかなくなる。

「あはは、ビクッてした!ここ弱いの?」 玲奈さんの手が、ふくらはぎを力強く揉みしだく。 ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ……。 「背中は優しく流しますね。リラックスしてください」 沙夜子さんの手は、絹のように滑らかに肩甲骨周りを這う。 にゅるり、にゅるぅ……。

強弱のついた二つの快感の波状攻撃。 下半身からは玲奈さんのエネルギッシュな刺激が、上半身からは沙夜子さんの繊細な刺激が、脊髄を通って脳髄で衝突する。

「う、あ、ぁ……」 「坂本さん、もう声出てるし。早すぎでしょ~」 「ふふ、これからですよ。……美雨、あなたも手伝ってあげなさい」 「えー、めんどくさい。……ま、いいや。ちょっと遊んであげる」

ペタ、ペタ、ペタ。 裸足がフローリングを歩く音が近づいてくる。 そして、トン、と僕の腰の上に重みが乗った。

「ぐぇっ!?」 「あ、いい椅子みっけ」

美雨ちゃんが、僕のお尻の上に座り込んだのだ。 小柄とはいえ、人一人の体重が腰に乗る。 だが、不思議と不快ではなかった。むしろ、彼女の小さなお尻の感触と体温が、尾てい骨を通じてダイレクトに伝わってくる。

「ねえ、このおじさん、筋肉ないね。ぷよぷよじゃん」 美雨ちゃんは、座ったまま僕の背中をペシペシと叩く。 「こら、美雨。お客様の上で跳ねないの」 「いいじゃん別に。……ねえ、変態おじさん。アタシが乗っかってて嬉しい?」 耳元ではなく、背中の上から降ってくる声。 「う、うれし……いです……」 「うわ、キモ。ドMだ」

美雨ちゃんはクスクスと笑うと、お尻をグリグリと押し付けてきた。 柔らかい感触と、硬い骨の感触が混ざり合う。

「じゃあさ、ここはどう?」 彼女は体を反転させ、僕の足の方を向いたようだ。 そして、僕の太ももの裏側、お尻のすぐ下の部分を、踵(かかと)で踏みつけ始めた。

「ぐ、うぅっ……!」 「ここ、踏まれると気持ちいいんでしょ?ネットで見た」 グニ、グニ、グニ。 容赦のない踏みつけ。 しかし、そこは確かにツボだった。 「あ、そこ、痛気持ちいい……っ!」 「変な声。……玲奈、ここもっとオイル塗ってよ。滑りが悪い」 「はいよ~!美雨ちゃん意外とSだねぇ」

玲奈さんがドバっとオイルを追加する。 美雨ちゃんの足裏が、オイルでヌルヌルになりながら、僕の太ももからお尻にかけてをスケートリンクのように滑り回る。

「ひぃ、あ、あぁっ……!」 「何これ、超ヌルヌルして楽しいかも」

無邪気な残酷さ。 背中では沙夜子さんが指圧を続け、足元では玲奈さんがふくらはぎを揉み、お尻の上では美雨ちゃんが足裏マッサージ(という名の蹂躙)を行う。 三位一体の攻撃。 僕の股間は、押し付けられたベッドとの摩擦で、すでに限界まで硬直していた。

「……坂本様、そろそろ仰向けになりましょうか」

沙夜子さんの声が、地獄の釜の蓋を開ける合図のように響いた。

仰向けになると、視界に入ってきた光景に、僕は言葉を失った。 三人が、ベッドを囲むようにして僕を見下ろしている。 沙夜子さんは、いつもの黒いランジェリー姿。 玲奈さんは、極小の蛍光色のビキニ。 そして美雨ちゃんは……大きめのワイシャツを一枚羽織っているだけだった。ボタンはほとんど留められておらず、動くたびにスクール水着のような紺色の下着が見え隠れする。

「なになに?おじさん、どこ見てんの?」 美雨ちゃんが、ニヤリと笑ってベッドに上がり込んでくる。 「勃起、すごいね。竿みたい」 彼女は僕の股間のすぐ横に膝をつき、顔を近づけてきた。 「触ってほしい?」 「さ、触って……」 「バーカ。触るわけないじゃん。汚いし」

美雨ちゃんは冷たく言い放つと、ふぅーっ、とペニスに息を吹きかけた。

「ひゃっ……!」 「あはは!ピクッてした!生き物みたい!」 「美雨、いじめすぎないの。……まずは、全身をほぐしてあげましょう」

沙夜子さんが合図をすると、三人が一斉に動き出した。

沙夜子さんは枕元に座り、僕の頭を太ももの上に乗せた。膝枕の状態だ。

「坂本様、耳のマッサージはお好きでしたよね?」 彼女の指が、耳たぶを揉み、耳の穴の周りをなぞる。 「ふぁ……っ」 「動かないでくださいね」

同時に、玲奈さんが右側に、美雨ちゃんが左側に陣取った。 「アタシは右乳首担当~!」 「じゃあアタシは左。……黒ずんでて汚いけど」

左右から、同時に手が伸びてくる。 玲奈さんの長い爪が、右の乳首をカリカリと引っ搔く。 美雨ちゃんの小さな指が、左の乳首を摘まんで引っ張る。

「い、ぎぃッ……!」 「あはは、右の方が感度いいかも!」 「左も固くなってるよ。つまんないの」

左右非対称の責め苦。 頭上からは沙夜子さんの吐息が降り注ぎ、視界には三人の胸元や生足が飛び込んでくる。

「あ、あ、ああ……っ!」 「まだですよ。……玲奈、美雨、もっと下」

沙夜子さんの指示で、二人の手が下がっていく。 脇腹をくすぐるように撫で、肋骨に沿って指を這わせる。 そして、鼠径部へ。

四本の腕、二十本の指が、僕の股間の周りに集結する。

「ここ、リンパすごい詰まってる~」 玲奈さんが右の鼠径部を拳でグリグリと押す。 「こっちは筋張ってる。キモい」 美雨ちゃんが左の太ももの付け根を、指先でツンツンと突く。

「う、ぐ、あぁっ……!」 ペニスの根元、その両サイドを同時に攻められる。 逃げ場がない。

「おちんちん、すごいビクビクしてるよ。アタシたちの指が当たりそうで当たらないのが、そんなに悔しいの?」 美雨ちゃんが悪魔の囁きをする。 「触ってほしいなら、お願いしてみれば?……ま、触らないけど」 「お、お願い……します……触って、ください……」 「却下~!」

玲奈さんが笑いながら、誤って触れてしまったかのように、ペニスの側面を手の甲でサッとなでる。

「ひあぁっ!?」 「あ、ごめ~ん。当たっちゃった。……わざとだけど」 「玲奈さん、ルール違反ですよ。……でも、坂本様も嬉しそうだから、今回は見逃しましょうか」

沙夜子さんが僕のこめかみを優しく撫でる。

「でも、イくのはまだダメですよ。……美雨、アレを使って」

「りょーかい」 美雨ちゃんが取り出したのは、氷の入ったグラスだった。 彼女は氷を一つ口に含むと、僕の顔を見下ろした。 「ん……」 冷たい氷を口の中で転がす音がする。 そして、彼女は氷を吐き出し、指で摘まんだ。 「ひゃっこいよ~」 その氷を、僕の亀頭の先端に、ジュッ、と押し当てた。

「ぎぃやぁぁぁぁっ!!??」

灼熱のように熱くなっていたペニスに、極寒の氷。 温度差による衝撃で、目の前がチカチカする。

「あはは!縮こまった!ウケる!」 美雨ちゃんは楽しそうに、氷でペニスの周りをくるくると撫で回す。 「冷たい?熱い?どっち?」 「つ、冷たいっ、でも、熱いっ……!」 「変なの。……じゃあ、溶けた水、舐めとってあげる」 「えっ……?」

まさか、フェラチオをしてくれるのか? 期待に胸が膨らむが、彼女がしたのは違った。 彼女は自分の指についた水滴を、ペロリと舐めただけだった。

「汚なーい。おじさんの味する」 「……ご褒美は、まだお預けです」 沙夜子さんが冷徹に告げる。 「今度は、これを使いましょう」

沙夜子さんが取り出したのは、湯煎されたホットオイルだった。 「美雨が冷やした後は、私が温めて差し上げますね」 とろり。 熱いオイルが、下腹部に垂らされる。 「あつっ……!」 「すぐ気持ちよくなりますよ」 沙夜子さんの手が、熱いオイルを塗り広げる。 氷で麻痺していた感覚が、熱で一気に呼び覚まされる。 冷と熱の波状攻撃。感覚神経がおかしくなりそうだ。

「ねえ、おじさん。今どんな気持ち?イキそうでしょ?」 美雨ちゃんが、顔を覗き込んでくる。 「イキたいなら、イキたいって言いなよ。……ダメって言うけど」 「イ、イキたいっ……イかせてっ……!」 「ダメ~!」

玲奈さんが、僕の足をM字に大きく開かせる。 「まだここが残ってるっしょ!」 彼女は、僕の会陰部分に、小型の電動マッサージ機を押し当てた。 ブブブブブブブブ……!

「う、ご、おおおおおっ!?」 直接ペニスには触れていない。 だが、根元の奥底、前立腺のあたりに、強烈な振動が響き渡る。

「ここ、弱いんでしょ~?知ってる知ってる!」 玲奈さんは楽しそうに、振動の強さを強める。 「あ、あ、あ、むり、むりっ……!」 「ムリじゃないよ~。まだイッちゃダメだってば」

沙夜子さんが、僕の口を手で塞ぐ。

「んぐっ、んーっ!!」 「大きな声出すと、喉が枯れますよ。……静かに、感じてください」

口を塞がれ、足を開かれ、会陰をバイブで攻められる。 そして、美雨ちゃんが再び氷を手に取り、今度は僕の金玉に押し当てた。 「袋も縮こまってるー。可愛いー」

上からの圧力、下からの振動、そして冷感刺激。 僕の理性の堤防は、とっくに決壊していた。 ただ、彼女たちが「栓」をして、精液の流出を止めているだけだ。 「んーっ!んーっ!!(イく!イく!)」 必死に目で訴える。 だが、三人は冷酷な女神だった。

「まだ」 沙夜子さんが首を横に振る。 「まだだよね~」 玲奈さんがバイブの角度を変える。 「まだだよ、ザコおじさん」 美雨ちゃんが、金玉を指でデコピンする。 「んぐぅぅぅッ!!!」

寸止め。 極限の寸止め地獄。 射精感が波のように押し寄せては、強制的に引かされる。 その繰り返しに、僕はもはや自分が生きているのか死んでいるのかさえ分からなくなっていた。 ただ、股間に集中する灼熱の塊だけが、僕の存在証明だった。

「……ふぅ。そろそろ、限界かしら」 沙夜子さんが、僕の口から手を離した。 「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」 酸素を求めて喘ぐ僕に、彼女は慈悲深い笑顔を向けた。

「坂本様。特別コースの仕上げです。……私たち三人の体で、サンドイッチにして差し上げます」 「サ、サンドイッチ……?」 「はい。手は使いません。私たちの体だけで、あなたを包み込んで差し上げます」

沙夜子さんが上半身に覆いかぶさる。 豊かな胸が、僕の顔を埋め尽くす。 「んぐっ……!」 視界が肌色に染まる。乳房の柔らかさと、甘い香りが脳を犯す。

「アタシは右側~!」 玲奈さんが右側に密着し、僕の右腕を自分の胸と腕で挟み込む。 太ももが、僕の腰に絡みつく。

「じゃ、アタシ左」 美雨ちゃんが左側に潜り込み、小さな体を押し付けてくる。 ぺたんとした胸だが、尖った乳首が二の腕に当たる感触が鋭い。

三方向からの肉の壁。 人間プレス機。 「あ、あ、つぶれ、る……!」 「潰れちゃえばいいのよ。……このまま、全身で擦り上げます」 「「せーのっ!」」

むぎゅ、ぬちゅ、ずぷ、にゅるるっ……!

三人が一斉に、オイルまみれの体を僕に擦り付け始めた。 沙夜子さんの胸が顔を圧迫しながら上下し、玲奈さんの太ももが右足を挟んで扱き、美雨ちゃんのお腹が左腰に吸い付く。 そして、誰の体かは分からないが、僕のペニスに、柔らかいお腹や太ももが、代わる代わる当たっては離れていく。

「あ、あたるっ、あたってるっ……!」 「手じゃないからセーフ!」 玲奈さんが笑う。 「おちんちん、お腹に当たって熱い。キモい」 美雨ちゃんが毒づく。 「感じてますか?私たちの体温、匂い、感触……すべてを味わってください」 沙夜子さんが耳元で囁く。

全身を包み込む、肉の海。 どこに逃げても、女の肌がある。 どこを向いても、女の匂いがする。

「もう、だめ、ゆるして、ゆるしてぇぇぇぇッ!!」 懇願する僕の声は、三人の嬌声にかき消される。 「ダメです。まだ出しちゃダメ」 「もっと擦り付けてあげる~!」 「我慢汁でベトベトにしてやる」

じゅぼ、ぬちゃ、じゅぷ、ぐちゅぐちゅ……!

激しくなる摩擦音。 高まる室温。 混濁する意識。

「あ、あ、あああああああッ!!!」

「……イってよし!」

沙夜子さんの号令が響いた。 その瞬間、三人が一斉に体を離した。 急に訪れた開放感。 そして、堰を切ったように溢れ出す衝動。

「イ、イくッ!イくぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!!」

ドッ、ピュウッ! ドパンッ!ビュルルルルッ!

天井に向けて、白い噴水が高く、高く舞い上がった。 今までで一番の量。一番の飛距離。 溜めに溜め込まれた欲望の結晶が、空中で散弾のように弾け、雨となって降り注ぐ。 僕の顔に、沙夜子さんの胸に、玲奈さんの腹に、美雨ちゃんの足に。

「うわっ、すごっ!」 「キャハハ!顔にかかった~!」 「キッタネ!おじさん汁まみれじゃん!」

ビクン、ビクン、ビクン……。 射精が終わっても、痙攣は止まらない。 僕は白目を剥き、口を半開きにして、ピクピクと震え続けていた。 魂が抜け出たような虚脱感。 そして、脳髄を焼き尽くすような、強烈な快楽の余韻。

「はぁ……はぁ……あ、ぁ……」

声にならない呻き声。 三人の美女たちは、精液にまみれた体を拭こうともせず、そんな僕を見下ろして笑っていた。

「お疲れさまでした、坂本様」 沙夜子さんが、ティッシュで僕の顔についた精液を優しく拭う。 「随分と溜まっていたようですね。……でも、まだ終わりではありませんよ?」 「え……?」 虚ろな目で彼女を見る。 まだ、終わりじゃない? これ以上、何をするというのか。

「特別コースは、まだ始まったばかりです」 玲奈さんが、新しいオイルボトルを持ってくる。 「次は、アタシたちが洗ってあげる番だね~」 美雨ちゃんが、ニヤリと笑う。 「精液で汚れた体、綺麗にしてあげる。……もっと汚れるかもしれないけど」

三人の目は、まだ獲物を狙う肉食獣のように輝いていた。 僕の地獄、いや天国は、まだ続くらしかった。


「さあ、坂本様。綺麗になりに行きましょうか」

沙夜子さんの柔らかな手引きで、僕はよろよろと立ち上がった。足が震えて力が入らない。生まれたての子鹿のように覚束ない足取りの僕を、玲奈さんと美雨ちゃんが両脇から支える。

「おじさん、足腰弱すぎ。生まれたての小鹿みたい」 「あはは!生まれたてのおじさん!ウケる~!」

無遠慮な嘲笑さえ、今の僕には心地よいBGMのように聞こえていた。精液とオイル、そして大量の汗にまみれた体は、動くたびにピチャ、クチュと卑猥な音を立てる。 VIPルームの奥にある扉が開かれると、そこには広々としたバスルームが広がっていた。壁も床も総大理石張りで、中央にはジャグジー付きの浴槽が鎮座している。照明はここでも薄暗く、立ち込める湯気が幻想的な霧のように視界を白く染めていた。

「まずは、シャワーで汚れを落としましょうね」

沙夜子さんがシャワーのコックをひねる。 シャーッという音と共に、温かい湯が降り注ぐ。

「ほら、そこに座って」 玲奈さんが指さしたのは、洗い場に置かれた介護用の椅子のようなものだった。言われるがままに腰を下ろすと、三人がかりの「洗浄」が始まった。

「アタシ、頭洗ってあげる~!」 玲奈さんが僕の頭にシャンプーを振りかけ、ワシャワシャと泡立てる。 「うわ、抜け毛やばくない?ハゲるよ?」 美雨ちゃんが横から口を出す。 「大丈夫大丈夫!頭皮マッサージで血行良くしてあげるから!」 玲奈さんの長い爪が、頭皮を強めに刺激する。 「あ、いたっ、でも、気持ちいい……」 「でしょ~?ここ、ツボなんだよ~」

頭上からの刺激に陶然としていると、今度は美雨ちゃんが僕の前にしゃがみ込んだ。 彼女の手には、ボディスポンジが握られている。

「体、洗うよ。……手あげるの面倒だから、足で洗っていい?」 「えっ……?」 美雨ちゃんは悪戯っぽく笑うと、スポンジを床に置き、その上に自分の足を乗せた。そして、たっぷりと泡を含んだスポンジを足の裏で操りながら、僕の脛(すね)から太ももへと滑らせてきた。 「ほら、綺麗になーれ」 ゴシ、ゴシ、ゴシ。 スポンジの粗い感触と、それを操る美雨ちゃんの足の裏の感触。 「あ、くすぐったい……」 「我慢してよ。……あ、おちんちん、まだフニャフニャだね」 彼女の足先が、萎びたペニスを軽く小突く。 「ひゃっ……!」 「反応した。キモい」 射精直後で過敏になっている亀頭に、スポンジの泡が触れる。 ヒリヒリするような、痺れるような感覚。

「美雨、そんな乱暴にしちゃダメよ。……もっと優しく、泡で包み込んであげないと」

沙夜子さんが、ボディウォッシュをネットで泡立て始めた。 モコモコとした濃密な泡が、彼女の手の中で山のように膨れ上がる。

「坂本様、前を見てください」 沙夜子さんは、その泡を自分の胸元――黒いレースのブラジャーの上にたっぷりと塗りたくった。 さらに、玲奈さんも真似をして、ビキニの胸元に泡を乗せる。 「あはは!アタシもやる~!」 「……バカみたい。でも、面白そう」 美雨ちゃんは、自分の太ももと、シャツの裾から覗く紺色のショーツのあたりに泡を塗り広げた。

「さあ、坂本様。……人間ボディウォッシュのお時間です」 沙夜子さんが、妖艶に微笑む。 「手は使いません。私たちの体についた泡だけで、あなたの体を綺麗にして差し上げます」

「い、いくよ~!」 玲奈さんが最初に飛び込んできた。 「背中、ゴシゴシしちゃうぞ~!」 彼女は僕の背後に回り込むと、泡だらけになった豊かな胸を、僕の背中に押し付けた。 にゅるり、むにゅっ……! 「ひぃあぁっ!?」 「どう?アタシのおっぱいスポンジ、気持ちいいっしょ?」 背中で潰れる乳房の弾力。泡の滑りで、摩擦係数がゼロになったかのようなヌルヌルとした動き。 彼女は乳首を立て、僕の背骨に沿ってグリグリと擦り付けてくる。 「あ、あ、背中、熱い……!」 「アタシ体温高いからね~!綺麗になっちゃえ~!」

「前は私が担当しますね」 沙夜子さんが正面に立つ。 彼女は僕の顔を両手で挟むと、泡まみれの胸を、僕の顔面に押し付けてきた。 「んぐっ……!?」 「息、苦しくないですか?……我慢してくださいね」 顔全体が、温かく、香り高い泡と肉の塊に埋没する。 鼻腔に吸い込まれるのは、石鹸の香りと、沙夜子さんの大人のフェロモン。 彼女は上半身をゆっくりと回転させるように動かし、僕の顔を胸で洗浄していく。 むぎゅ、じゅわっ、ぐにゅぅ……。 泡が弾ける音と、濡れた皮膚が擦れる音が、鼓膜に直接響く。 視界は真っ白な泡と肌色に遮断され、僕はただ翻弄されるがままになる。

「ねえ、おじさん。一番汚いところ、残ってるよ」 美雨ちゃんの声が、下の方から聞こえた。 「ここ。……まだ精液ついてるし。ベトベト」 彼女の視線は、僕の股間に注がれていた。 「手で洗うのヤダから、これで洗ってあげる」 美雨ちゃんは、泡だらけになった自分の太ももを、僕の股間に密着させた。 「太もも挟み洗い~」

美雨ちゃんは僕のペニスを、自分の両太ももで挟み込んだのだ。 「ひぃッ……!そ、そこは、敏感でっ……!」 射精直後のペニスは、皮が剥けたばかりの傷口のように敏感だ。 そこに、柔らかくも力強い少女の太ももが、容赦なく圧迫を加える。 「知ってる。だからやるんじゃん」 くちゅ、くちゅ、むにゅっ。 美雨ちゃんは内股に力を入れ、ペニスを締め付けながら上下に擦る。 「あ、痛いっ、でもっ、くすぐったいっ……!」 「どっちだよ。……あ、また大きくなってきた」 嘘だろ。 あんなに大量に出したばかりなのに。 過敏な亀頭を、ヌルヌルの泡と少女の柔肌で擦られ、強制的に血流が呼び戻される。 萎びていたペニスが、美雨ちゃんの太ももの中で、再びビクビクと脈打ち始めた。

「あら、もう復活ですか?坂本様は本当にお元気ですね」 顔を洗っていた沙夜子さんが、口元を離して微笑む。 僕の顔は泡だらけで、目も開けられない状態だ。 「み、見えなっ、目がっ……!」 「そのままでいいですよ。……見えない方が、感じるでしょう?」

沙夜子さんの手が、僕の肩を押す。 「床に座ってください。……マットの上です」 洗い場の床には、いつの間にかビニール製のローションマットが敷かれていたようだ。 僕はそこに投げ出されるように座り込んだ。 「冷たっ……!」 「すぐ温まりますよ。……お湯と、私たちの体温で」

シャワーのお湯が、マットの上に流される。 お湯と泡が混ざり合い、マットの上は一面のヌルヌル地獄と化した。 「第二ラウンド、開始だね~!」 玲奈さんの声と共に、またしても肉の壁が押し寄せてきた。

今度は、座った状態での「洗いっこ」だ。 沙夜子さんと玲奈さんが左右に分かれる。

「アタシ、左足~!」 玲奈さんが僕の左足を抱え込み、自分の股間に擦り付けるようにして洗う。 ビキニの布地越しに、彼女の秘部の形が伝わってくる。 「あ、あ、そこっ……!」 「アタシのマンゴーで洗ってあげてるんだから、感謝してよね~!」

「では、私は右腕と脇腹を」 沙夜子さんは僕の右腕をとり、自分の豊満な胸と脇で挟み込んだ。 「ここも、綺麗にしないと」 むぎゅっ、にゅるる。 彼女は腕全体を使って、僕の右腕を締め上げ、しごくように洗う。その際、柔らかい乳房が僕の二の腕を押しつぶす。

「おちんちんは、アタシのモノ」 美雨ちゃんが、僕の正面に割り込む。 「さっきの続き。……もっと綺麗にしてあげる」 彼女は四つん這いになり、くるりと背を向けると、お尻を僕の方に突き出した。

「お尻洗い~」 「えっ、そ、それは……!」 美雨ちゃんは、泡だらけになった自分のお尻を、僕の股間に押し付けてきたのだ。 プリッとした小さなお尻が、勃起しかけのペニスをムニムニと踏みつける。 背中越しに、美雨ちゃんがニヤリとこちらを見下ろしているのが分かった。

「お尻の割れ目で、挟んであげる」 彼女は器用にお尻の筋肉を使い、ペニスを割れ目に挟み込んだ。 そして、腰を前後に振り始める。 「ほら、ゴシゴシ。……汚れ落ちろー」 じゅぼっ、ぬるっ、ずりゅっ……。 「あ、あぁぁぁっ!そ、そこはっ、クリティカルっ……!」 ペニスの先端が、美雨ちゃんのアヌス付近を擦る。 禁断の領域。 柔らかさと、背徳感。 「何感じてんの?変態。……お尻で洗われて喜ぶとか、終わってる」 罵倒の言葉とは裏腹に、彼女の腰使いは執拗で、的確だった。 敏感な裏筋を、割れ目の谷間でしごき上げる。

「あ、あ、また、溜まってくるっ……!」 信じられないことに、僕の下腹部には再び熱いマグマが溜まり始めていた。 人間の体とは、これほどまでに貪欲なものなのか。 いや、彼女たちのテクニックが、人体の限界を超えさせているのだ。 「出しちゃえば?……どうせ止まらないでしょ」 美雨ちゃんが冷ややかに言う。 「でも、手は使ってないからね。……勝手にアタシのお尻に擦り付けて、イくんでしょ?」 「そ、そんなっ、勝手にっ……!」 「違うの?……じゃあ、止めてみる?」 美雨ちゃんは動きを止めた。 ペニスが、お尻の谷間に埋まったまま、熱を持って脈打つ。 「動いて、動いてっ……!」 気づけば、僕は懇願していた。 この生殺し状態が、何よりも苦しい。 「ふふ、正直でよろしい。……じゃあ、もっと激しくしてあげる」

美雨ちゃんが合図を送ると、玲奈さんがシャワーヘッドを手に取った。 「仕上げの洗浄~!水圧マックスで行くよ~!」 バシャアァァッ!! 強力な水流が、僕の股間目掛けて噴射された。 「ぎゃぁぁぁぁっ!!?」 美雨ちゃんのお尻に挟まれたペニスの根元に、熱いお湯の奔流が直撃する。 熱さと、水圧の衝撃。 そして、美雨ちゃんの腰の動きが再開される。 激しさを増すピストン運動。 「あはは!おじさん、溺れてるみたい!」 「水責めだ~!汚れろ汚れろ~(意味不明)」 「沙夜子さん、仕上げです!」

沙夜子さんが、背後から僕に抱き着いてきた。 「耳元で、応援して差し上げますね」 濡れた髪が、僕の首筋に張り付く。 「イきなさい。……今すぐ、ここで。私たちの中で」 悪魔の囁き。 「全部、空っぽになるまで。……あなたの理性を、すべて吐き出しなさい」

「あ、あ、あ、イくッ!イくぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!!」 「出せーッ!!」 「ブチまけろーッ!!」 「イっちゃえ……ッ!!」

ドピュッ!ドピュッ!ドピュルルルッ!

二度目の絶頂。 水流と泡と肉の狂乱の中で、僕は再び果てた。 精液は美雨ちゃんのお尻にかかり、シャワーのお湯で瞬く間に洗い流されていく。 白濁したお湯が、排水溝へと吸い込まれていく様を、僕は薄れゆく意識の中でぼんやりと見ていた。

「はぁ……はぁ……ぁ……」 今度こそ、本当に空っぽだった。 精液だけでなく、気力も、体力も、そして人間としての尊厳のようなものも、すべて流れ出てしまった気がした。 マットの上に崩れ落ちる僕。 三人の笑い声が、遠くから聞こえる教会の鐘のように響いていた。

「あーあ、完全に伸びちゃった」 「面白かった~!また遊べるね、このおじさん」 「……ええ。素晴らしいおもちゃを見つけましたね」

その後、僕は三人に手取り足取り体を拭かれ、服を着せられた。 まるで介護される老人のように、されるがままだった。 「はい、これお水。飲まないと死ぬよ」 美雨ちゃんがペットボトルの水を口に突っ込んでくる。 「あ、ありがとう……」 「会計、オマケしといてあげる。……また来なよ」 彼女は最後に、僕の耳元で小さく囁いた。 「次は、もっとひどいことしてあげるから」


店を出ると、外はすっかり日が暮れていた。 都会のネオンが、ぼやけた視界の中で滲んでいる。 足元はフラフラし、股間はヒリヒリと痛み、全身の筋肉が悲鳴を上げている。 肉体的にはボロボロだった。 財布の中身も空っぽに近い。 それなのに。 僕の心は、奇妙なほど晴れやかで、満たされていた。

(僕は、もう戻れない) かつての平凡なサラリーマン生活には。 あの刺激を知ってしまった細胞が、普通の生活に満足できるはずがない。 僕は、彼女たちの「おもちゃ」になったのだ。 そして、それを悦びとして受け入れている自分がいる。

ポケットの中で、携帯が震えた。 見ると、沙夜子さんからのメッセージだった。 『本日はありがとうございました。素敵な鳴き声でしたよ。……来週の予約、入れておきましたからね。逃がしませんよ?』 最後には、ハートマークがついていた。 その文面を見た瞬間、恐怖ではなく、安堵と興奮で背筋が震えた。 「……はい。必ず、行きます」 誰もいない夜の街で、僕は携帯に向かって深くお辞儀をした。 それは、新しい「主人」への、忠誠の誓いだった。

僕の堕落は、まだ始まったばかりだ。 いや、これは堕落ではない。 これは、新しい「生」の始まりなのだ。 僕はネオンの光に吸い寄せられる蛾のように、再びあの雑居ビルへと続く道を、夢想しながら歩き出すのだった。

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